ちょっとだけ不思議な話1

先日、夜勤明けの帰り道に、知人の家に寄る用事があった。まだ夜が開けてない時間帯で、辺りは暗かった。真夜中に近く、車はヘッドライトをつけて走っている。

慣れない道なので、たしかこっちから行けるはずだ、と入った道があった。
昼間ならなんということはない道なのだろうが、妙に方向感覚が狂い、迷いながらなんとか知人の家にたどり着いた。

途中どこの神社かわからない鳥居が目の前ににゅーっとそびえ立ち、すこし気味悪かった。 
二、三日して、これは昼の暑い最中のこと。
常はいかないが、年に何回かいく仕事の現場に車で向かっていた。
暑い。ええい近道しよう、と混雑を避け、とった道があった。

なにげなく、そこを選んだみたいだった。進んでいるうちにわかったが、それは夜中迷ったあの道だった。
あ、この道だったのか、と合点がいった。

鳥居は今○神社の鳥居、道は紫○高校前の神社の参道だった。

この間とは真逆に走りながら思った。

「ああ、たぶんあのときの借りを返しに来たんだな」
わたしはこういうとき、そんなゲームめいた感慨を抱く。
なにげなく通ったが印象に残る場所には、なぜか、近いうちにまた訪れてしまうのだ。

しかし、あの真夜中の道は昼間とはまったく様子が違った。昔にタイムスリップしたみたいだった。
あるいは夢のなかみたいだった。