「素人の時代」は今も?ニュースで見た元ホームレスピアニストとけいおん甲子園、ハモネプ甲子園 

昨日は夜勤であった。寒かった…。
夜中3時頃、お客さんが「山科の温度計はマイナス2度だったよ」とのこと。
帰りも、宝ヶ池の道路の脇のデジタル温度計は「−2」の表示。

今日は、昼過ぎに起きて、テレビをずっと見ていた。日ごろ見ないニュース番組を見ていると、意外なニュースがいくつか見れた。(やはり伊達直人ネタが多かったが、その合間を縫って、、)

ひとつは、MBS(毎日)の「ちちんプイプイ」でスペシャル?を組んでいた阪神大震災特集で、震災16年後の被災者のその後を追った特集。今日紹介されたのは、震災でホームレスになったが、今はピアニストとしてホームレスを脱し、ボランティアで釜が崎や、被災者に向けピアノを弾く仕事をされている方だ。
この方は、神戸で音楽家である奥さんと一緒に音楽学校を経営されていたが、震災で学校は廃校、離婚され、借金に追われるうちに釜が崎にたどり着いていたと言う。その後、路上で6年間生活された。
こうした震災後、ホームレスになられ、釜が崎で働いていた方は、この方のほかにも結構多かったという。
この方は、幸い、ある日、教会で使わなくなったエレキピアノを手に入れ、それでためしにバッハの曲を、路上で弾いていたら、周りのホームレスがみんな耳を傾けて聴き入りはじめたという。
それから、毎朝釜が崎でピアノを弾く生活を始め、ホームレスを脱せられたとか。
現在、ピアノを弾くかたわら、正月にホームレスに寝袋を配る活動もされていて、その姿も報道していた。

数奇な運命だが、この話は、あの世紀の名ピアニスト、フジコ・ヘミングを髣髴とさせるエピソードである。
フジコ・ヘミングは、留学先のドイツでたしかバーンスタインか誰か、有名な指揮者に見出された矢先、耳の病気に見舞われ、まったく耳が聞こえないまま、最初のリサイタルに臨んだが、失敗、その後、ピアニストになるのをあきらめたが、日本に戻れないので、そのまま留学先でピアノを教えて暮らしていた。たしか、そのときあるちょっとしたいざこざに巻き込まれ警察に捕まり、しどろもどろの受け答えをしていたら、精神病院にいれられてしまう。
その病院で、嘆いていると、病室にピアノが置いてあった。フジコはそれをなにげなく弾いていると、周りの病室の患者さんは嫌がるどころか、みな感心して聴き入り、看護婦まで拍手して賞賛したという。
彼女は、その事件の後、日本にいる母親が亡くなった知らせを受け、日本に戻り、ピアノ教師を続けていたが、なんらかのきっかけでNHKのテレビに出るチャンスを得る。その番組でいきなり全世界のスターになった。

この神戸の元ホームレスの方が、その後フジコヘミングみたいに有名になられるかは、わからないが、話題になっているということは、それだけいいピアノを弾かれるのだろう。

さて、その後、夕方KTV(関西テレビ)のアンカーというニュース番組で、女子だけの「けいおん」甲子園というのを紹介していた。

そこで、なんと地元京都の光華高校(元光華女子高校)の「けいおん」部が取り上げられていて、びっくりした。「けいおん」は、たしか京都アニメーション京アニ)が作っているアニメ番組だが、女子の軽音楽部のことを通称する名詞になっているようだ。
このバンドは、確かに女子だけの10名くらいのメンバーで、なんとあのクイーンのボヘミアンラプソディをカバーしていた。

なかなか、力の入っているパフォーマンスだった。最初のアカペラ部分は、ボーカルが4人か5人くらいいて、いい感じでコピーしていた。(クイーンは、多重録音だったはずだ)

それで、このバンドは、準優勝であった。参加したメンバーで、ギターの女の子は、ソロパートの最初で、ギターのボリューム調整がうまくいかず、音が出なかったことを悔やんで泣いていた。

はは〜、そんな熱いところが、うけているのか。と思いつつ、今度19時からそのまま8CHを見ていたら、今度は、「青春アカペラ甲子園 全国ハモネプリーグ超激戦日本一決定戦SP」というのが始まり、また「甲子園」?と、驚く。

これもまた、出演したグループは、大学生から高校生だったが、なかなかにうまい。そして、歌い終わると感極まって泣いている。これには、審査員も感動していた。
審査員は、武田鉄也、つんく水森かおり、HITOMIなど。仲間由紀恵も、その後番で始まるドラマの宣伝をかね、審査員になっていた。

ハモネプリーグHP→http://www.fujitv.co.jp/nepleague/hamonep/hamonep.html
地元京都からは、なんと立命館大学の「カリカリ」というハモネプグループが桑田圭介のナンバーを引っさげ出場していたが、惜しくも決勝に進めず敗退していた。

さて、これらのニュースをまとめるなら「素人」の熱さは、恐るべしかつ素晴らしいということになるか。
フジコヘミングは今では最高級のプロのピアニストだが、彼女が最初から順調にピアニストとなっていたら、今のように活躍しているだろうか。いったん地獄を見た人間にしか、あのような珠玉の音は出せないのではないか。
神戸の元ホームレスのピアニストの方も、そうだと思う。
プロにはない、ピュアなものが、それらには共通している。
フジコヘミングはデビューが非常に遅かっただけに、そうした人にしかない、プロのピアニストがすでに喪失しているピュアなものが、わたしたちの胸を打つのではないだろうか。

前に、id:iireiさんが、実際にこれもある「書道甲子園」をテーマにした「とめはね」というマンガをブログに取り上げられていた。
2010-09-13
これら「甲子園」という言葉には、そうした一般的に思い浮かぶ「青春」とともに、素人のプロを時にしのぐコワさと偉大なアマチュアリズムもこめられているような気がする。

朝日新聞が、今日1月11日の夕刊「素粒子」で、先日亡くなった横澤彪氏のことを書いていた。横澤さんは、「80年代のテレビは素人の時代」という言葉を残したそうだ。
今も、実はその時代は続いているのかもしれない。テレビは素人なしでは成り立たないだろう。そのもっとも典型的で偉大な番組が「探偵ナイトスクープ」であることは間違いないところだ。