ビデオ屋さんで借りた映画 『アメリカ~家族のいる風景(Don't Come Knocking)』とジェシカ・ラングについて

前回、スペインとカナダの共同製作でハリウッド女優アン・ハザウェイが主演だけでなく製作・指揮もしていた『シンクロナイズド・モンスター』を紹介したが、この映画はまさかの怪獣映画だった。日本のゴジラみたいにベタな怪獣映画ではなく、主人公の女性のリベンジというか、離婚して故郷に帰り出直すドラマが中心で、怪獣はあくまで伏線な訳だったが、、。

製作・指揮というのは、何をしていたかよくわからないが、Wikipediaによれば、この映画の台本をアン・ハザウェイが採用したらしく、彼女が発端であったらしいことが書かれていた。アメリカの怪獣映画としてよく知られているのはキングコングであるが、ハリウッドのオリジナル作品に日本の怪獣映画みたいなのはほかにあまりない。だいたい、あっても恐竜やジョーズ、アマゾンの半魚人、あとゾンビとかでやはり巨大怪獣が出てくるのは日本映画独自なものなのかもしれない。

『シンクロナイズド・モンスター』というように、僕ら的には「怪獣」なのに、たぶん外国人にはモンスターなのであって、たぶんキングコングもモンスターの一種なのだろう。「怪獣」は訳語がないのだ。

さてその数少ないアメリカの怪獣映画の「キングコング」に新人時代出ていたジェシカ・ラングが出ている映画をこの間偶然借りて見た。じつはこの映画もアメリカが舞台だがアメリカ映画ではない。監督はヴェンダースでドイツ人で、製作はドイツとアメリカの共同になっている。

ヴェンダースアメリカが舞台の作品をたくさん作っていて、あの『パリテキサス』もそうだった。その『パリテキサス』で脚本を書いて、たしか出演もしていたサム・シェパードが同じく脚本を書いて、今度は主演している。

サム・シェパードが演じるのはハワード・スペンスという名の西部劇専門の映画俳優である。さしづめクリント・イーストウッドというところか。

ちなみに、わたしは前にあの『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』も借りていたが、見た人は覚えていると思うが、主人公マーティがタイムワープした19世紀の西部で名前をきかれ、とっさに「クリント・イーストウッド」と名乗るシーンがあった。

そのハワードだが、なんと映画のロケ撮影中に、現場から撮影用の馬に乗って逃走してしまう。そして、自分の母親がいる故郷に30年ぶりに帰り着く。この逃走の理由はよくわからないが、やがて主人公が数々のスキャンダルで物議をかもしてきた人物だとわかってくるに従い、何やらやらかしたのかもしれない、と推理するが、その母親から「子供はどうしたの?写真はないの?」と尋ねられ、「あなたの子供を生んだって言う女性から大昔に電話があったわよ」という話をきき、物語は一転する。ハワードは心当たりのある映画のロケ地だった場所を訪ね、そこで昔の恋人が店長をしているカフェに偶然はいる。そこには、逆にハワードを探して、そこに旅してきた若い謎めいた女性もいた、、。

ジェシカ・ラングはこのカフェの店長でハワードの恋人ドリーン役をしていた。わたしはその名前に何となく記憶があり、なんだったか思い出せず、ネットで検索したら、さっき書いたみたいにキングコングのヒロイン役で出ていたのだった。

しかし、それでだったとは思えなかった。キングコングを見たのは遥か昔小学生の頃であった。

いったい何で見たのだろう、と思い、Wikipediaジェシカ・ラングをさらにみると、出演作に『ブロークン・フラワーズ』があった。

この映画は、じつは借りてみていた。ジム・ジャームッシュの映画がみたいと思いそのコーナーで見つけて借りた。(わたしが行っているビデオ屋さんは、監督別に映画を分類し並べているコーナーがある。そのコーナーで借りた作品はいままでハズレがない。)

しかしその映画でジェシカ・ラングがどの役をしていたかさだかには覚えがない。

だが、考えれば、この『ブロークン・フラワーズ』と『アメリカ~家族のいる風景』とは、ストーリーはまったく違うがモチーフが一緒なのである。いないと思っていた子供がじつはいて、その子供を探しにいく旅に主人公は出る。そして、形式としては、昔関係のあった女性を訪ねるのである。

その主人公が訪ねる何人かの女性のうちの一人がジェシカ・ラングだったらしいのだが、誰だったかもう思い出せない。

しかし、たぶんどっちかが先だと思うが、この二つの巨匠の映画は、影響を与えあっているに違いない。ジェシカ・ラングが両方の映画に出ているのは決して偶然ではないだろう。