ビデオ屋さんで借りたビデオ~『さよなら私』

ものごとには何にせよきっかけというものがある。

たまたまいま利用しているビデオ屋さんに行きだしたのは、なにがきっかけだったかと考えてみたら、知人に頼まれて、ある映画のビデオ(DVD)を探してほしいと言われ、探しに行ったのがきっかけだったようにおもう。

その目当ての映画はなかったが、代わりに以前借りた映画のビデオを見つけ、懐かしくなって借りたのだ。

それが以前このブログでもとりあげた『真夜中のギタリスト』だった。

ビデオ屋というのは、一度そうやって借りて、返しに行くときにまた借りる、この循環でなりたっている。それは本屋やコンビニと似た構造だ。

いまビデオを借りるのは限りなく安く、つい借りてしまう。いまや携帯スマホですぐに映画も見れてしまうため、先行きは明るくなく、わたしとしては、携帯でまたはネットで、映画を見るのは妙になじめないから、ビデオ屋は末長く存在していてほしい。

その『真夜中のギタリスト』に続けて借りたビデオのなかで、覚えているのはいくつかあるが、その頃は、たしか母がなくなってからそれほど時間がたってなかったせいで、なにもあまり映画や音楽を見たり聴いたりする気持ちがなく、次々にという勢いはまったくなかった。それでかえって覚えているのかもしれないが、たしか、映画ではなく、テレビドラマをレンタルして見た。

それはNHKでやってたドラマらしいが、オンエアのときはわたしはまったく見てない短めの連続ドラマで、タイトルは『さよなら私』だった。

石田ゆりこと永作博美がダブル主演のドラマで、むかし大林監督がつくった『転校生』の設定をパクった感じの、「入れ替わり」がテーマのドラマであった。

二人は親友で、ある日神社に二人でお参りにいき、石段を転がり落ちたことをきっかけに、心と身体が入れ替わってしまう。

かたや石田ゆりこはバリバリのキャリアウーマンで未婚、かたや永作博美は子持ちの主婦で、ライフスタイルがまったく違う。その境遇を入れ替わって体験する。

そして、じつは永作の身体は不治の病に犯されていて、石田のこころは親友になりかわって主婦業と子育てをまっとうし、その親友の死をまさに身をもって迎えざるを得なくなる。それを彼女はどう受け入れるのか。

しかも、なんと永作の夫(藤木直人が演じる)が、石田と不倫していることを、入れ替わりになったため永作は知る。彼女は石田となって夫に抱かれるのだが、それをどう受け止めればいいのか、悩む。

二人には、もう一人ずっと仲良しの親友(鈴木砂羽)がいて、彼女も夫(尾美としのり)の不倫に悩んでいた…。

なかなかいいドラマだった。脚本は岡田恵和だったから、当然かもしれないが。あの連ドラの『ひよっこ』を担当している。

配役もかなりいいというか、大物ばかりを使っている点、さすがだという気がするが、石田ゆりこと永作博美の組み合わせはピッタリな気がした。たしかに逆の配役でも問題はなく思える。

親友というものが、もしいるなら、それが人生にとっていかなるものなのかを、それは語っているのかもしれない。