小説

村上春樹「螢・納屋を焼く・その他の短編」(新潮文庫 昭和62年初版)

先日茂木健一郎の『脳と仮想』についてこのブログで書いたが、そこにブログでは書けなかったが、印象的なものに蛍の話があった。虫そのものの蛍でなく、日本人が「蛍」という存在に仮託した「仮想」を、茂木健一郎は取り上げていた。その際、ある一例として…

開高健「パニック・裸の王様」(新潮文庫ほか)

開高健が1952(昭和32)年に「裸の王様」で芥川賞を取ったとき、当日彼の家に新聞記者が多数押し寄せていたときのことを、開高自身がエッセイに書いている。当時、大江健三郎と賞を争っていたので、どちらが賞を取るか、大江の家にも記者が押し寄せていた。…