ある集会〜震災を奇縁にした出会いと話し合いの試み

今日は「ブッダ・カフェ」と銘打たれた今回の震災について語る集会に参加、特に自己啓発的な目的や営利を目的とするものでもない。またその名のとうり、お寺の施設を使って行われたのだが、(主催者はお寺の住職)宗教的施設であってもお寺に行くのは、昔から違和感はない。(もしかするとキリスト教の信者の方もいたのかもしれないが)わたしは、日本人の例に漏れず、仏教徒とはいえない、門徒物知らずである。
そのことは当然のごとく忘れていた。お盆と法事の時しかまず思い出さない。
今日は読教のオープニングだったので、それを思い出した。

参加者のお一人から、このような集会は東京でも行われ始めたと言う。その方は、主催者のゆかりある方で東京からはるばる来られていた。
遠いと言えば、奈良をはじめ長野県諏訪などからも。
集会とかくと大袈裟だが、いままで職場や友人だけでない人たちと顔を会わせ話すことなど、数えるほどしかなかった。
しかし、職を辞めてから、森林整備のボランティアを始めたりして以来、はじめて会う人と話すのに慣れ始めた。
その話し方は、職務目的で会うときと形は同じだが、全く違う。(同じになるときもあるが)
どこが違うかと言うとお互い顔を会わせ、一緒に作業するが、名前を覚えてないことが多いのだ(物覚えが悪いということもあるが)。
仕事の場合、だいたい逆だ。名前は覚えると言うより名刺交換して忘れる。顔はその前に忘れている。
ボランティアやこうした話すだけまた話すことで何らかの目的を達する必要のない話をしようといった集会の場合、名前は二の次になる。(あまりみなさん名を知り合おうとしない。中にはお互いが顔見知りみたいな方もいるわけだが。たぶん違う集まりもあると思われるが。)
たぶん次に顔を合わせるときまで必要ないし、それより話をし、人の話を聞いていたいからだろう。
わたしも人の話をこれだけ注意して耳を澄ましたのは久しぶりだった。
ある女性の参加者が、地震以降テレビから流れるマスコミ報道の言葉に違和感をずっと感じていて、それがなにかわからないで苦しんでいる、という話をされた。
それは失礼ながら、非常に話がいのある題材となり、マスコミの報道に始終あった(いまならそれが嘘で乗りきろうとする政府および東電関係者の原因とわかる)「ずれ」みたいなものに、敏感に反応されていて、わたしたちも知らず知らずのうちに傷ついていたのかもしれないことに、気付かされた。
そのあと自身の指導する芸大の学生を連れて参加された先生が、参加者に自分の近所の人と最近話すことがあるか、と尋ねられた。
これは路地裏にはコミュニティがあった、路地にかつてあったミルクの粉の空き缶や乳母車を使った「植木鉢」は、いまのホームセンターで売っている規格品の鉢でない個性があった、などの話に発展した。
地震のあった東北には関西や関東の都会が失ってしまったコミュニティがあった。
だから漁村や農村ほど立ち直る兆しがあり、住宅地で被災した町には活気がなかなかもどってないと言う話、漁民に行政が民間の漁業公社みたいな組織を立ち上げようと促しているが、漁業権を奪われると漁師が猛反発している話もあった。
わたしは芸大の学生の小学生のときはクラスメートが全員マンションか団地の家の子で、一戸建ての家の子は一人もいなかった、団地の公園に子供たちが秘密基地を作っても、管理員に一日で撤去されたという思いでを聞いていた。
会が終わる寸前、主催者の呼び掛けに応じて、福島から参加された小さなお子さんを連れたご家族が到着された。
京都で暮らそうと意を決して福島を立たれた方だ。
京都がお茶漬けのおかわりをすすめて暗に人を追い払う土地だと聞いていて〜みたいに子供みたいに不安がられる母親の言葉に、みんなそんな人はもうあまりいないなとお互い顔を見交わし笑い場がなごんだ。参加者には他府県から京都に移り住まれた方が多かった。
子供連れで来られた方が何名かいて、まだ話せない子供たち同士で、福島の家族の方の子供と見交わしながら、畳の上を動き回っていた。
「ドラマは夕方からはじまる。…こんな詩が、ありましたね。」と、詩を書いたりすることもあるという主催者が参加者を見送りながら、つぶやかれていた。
次回は7月17日とのこと。祇園祭山鉾巡行の日だ。福島の方も参加される予定。
「この3ヶ月のことで話したいことはこん〜なにあります」と上に広げられた両腕の示すイメージを車座に座った参加者は見上げていた。
そこには、蓮の形に木彫でデザインされた、おしゃれなシャンデリアがランプのような電球の光を放っていた。
友人も誘ってみよう。
(追記)
☆この催しは、「ブッダ・カフェ」というものです。主催者がブログでその成り立ちを説明しておられます。→ブッダカフェとは - ぶろぐ・とふん
☆☆また、この会のときの様子を主催者が別な視点で書かれた記事と次回の催しのお知らせはこちらです→ドラマはいつも日没から - ぶろぐ・とふん