スポーツ報知『ウルトラセブン45周年特集号』 TBS「たましいの授業」(2012年7月13日(金)放映)小森純・お母さんの10年日記

九州の豪雨の被害がひどく、昨年今年と天災が続く。環境異変を考えざるを得ない。自分の住んでいる地域の無事をありがたく思う。
そんな折に、誠にどうでもいいようなことではあるが、、。
一度、駅のキオスクかコンビニのスポーツ新聞のラックに、このスポーツ報知の『ウルトラセブン45周年特集号』がないか見てみてほしい。300円と新聞にしては少し高いが、内容の詰まったいい紙面だった。(本と違って立読みはできないが、、)
あの有名なウルトラセブンのなかでも珠玉の名作『ノンマルトの使者』の制作秘話も掲載されている。
当時出演していた俳優たちのインタビューや対談も入っており、現在のお年を召された写真を見ると、月日の経ったのをいやでも感じるが、それはそれで、楽しめないことはない。

今日、標題『たましいの授業』を見た。先日紹介した「ようこそ先輩」の民放版といえようか。この番組は、レギュラー番組ではないらしい。かなり、たくさんの芸能人が小学校や中学校の教壇に立ち、なかなか見ごたえのある授業をやっているのに驚いた。

とくにイケメンシェフの川越達也、タレント小森純の話は、非常にインパクトがあった。彼らは、ともに自分の思春期の親との確執、反抗をテーマにしていて、中学生時代のもっともじつは核心的な悩みに、親子関係があることを痛感した。

この番組で小森純は、自身の壮絶な親子の激突、反抗に次ぐ反抗の不良少女時代を赤裸々に語っていたが、それを克服するきっかけとなったあるアイテムを授業で紹介していたのである。
それは、小森の母親がずっと娘、とくに不良だった小森純のことや、家族のことを毎日綴っていた「10年手帳」だった。
彼女は、母親が綴ったその日記を、ある日台所で目にする。その日記は、親に反抗し、不良行為に明け暮れていた彼女に「親の目から自分を見る」という視点を与えたのだった。
それは、親への感謝という、深い感情の生まれた瞬間だった。

彼女は、その実物を教壇に立って、中学生に見せて、その中の一部を読みながら、強烈なメッセージを送っていた。それは、「自分にとって家族とはなにか」という問いかけだったように思う。

彼女は、日記を読みながら、ぼろぼろ泣いていたが、教室の中でも泣いている子はたくさんいた。説教くさい内容に聞こえるかもしれないが、どうも見ているとそうでもないのが、不思議だった。

わたしも親に反抗した時代があった。その思い出と、今は亡き父の在りし日の姿がほうふつと頭に浮かんだ。

いま、ある滋賀県の中学校と滋賀の教委が、渦中にある。校内で起こったいじめの対応の不始末を警察が事件として捜査しているのだ。
いままでも、こうした事件は無数といえるほどにあったが、こんなにマスコミが取り上げ、「犯罪」として警察が動き出したのは、おそらくはじめてであろう。
これらの事件にも、学校での教師と生徒の関係以外に、ほんとうは親と子の関係が問われているのだと思う。
もちろんいじめたほうの子にも親はいる。以前、フロイド精神分析学者の岸田秀さんが、あるエッセイで、学校のいじめ事件について、いじめたほうの子どもの親は、自分の子がいじめをしていることを知っているだろう、と指摘していたのを、最近たまたま読んだ。
このいじめの問題は、日本ではずいぶん古く長い問題であったが、今回の警察の介入で事態は好転するだろうか。もちろんそうなることを願いたいし、全国の学校関係者も固唾を飲んで見守っているだろうが、そうそう単純な問題ではあるまい。
ただ、今回の事件に関係した学校の中学生が、小森純のように、なんとか自分の親に感謝するきっかけを得て、その日が訪れるように祈りたい。