9月、蝉鳴きやみ、日差し和らぎ、ラジオからバカラック…

昨日の暑さとはうって変わり、今日曇り空に、吹く風に、まぎれもない秋の匂い。
昨日は炎天下の中、畑に久しぶりに出向き、水やりや生ゴミやり(土に埋め肥料にする)をした。
水やりも丸々一週間できず、畑までは自転車で30分かかり、しかも山の中腹に近く、坂道が堪える。行くまでに汗だくになったが、かなり作物が育っていて驚いた。
面白半分で、冷蔵庫に入れっぱなしだった、サヤ入りのグリーンピースから、サヤを破って芽がでていたのを、しばらく小さいポットに土を入れて、10個くらい植えたらすぐに大きくなった。
それをいくつか畑に植えた。この暑さで半分以上消滅してしまったが、二三本は生き残り、なんと1メートルくらいの高さに成長していた。
1週間前はまだヒザ辺りの高さだったはずだ…。
しかもいくつかサヤが膨らみ収穫もすくないができたのである。
このグリーンピースは、実は違う場所でかなり大規模な畑をやられているKさんに、食べるようにいただいたものだった。
Kさんの畑はかなり広くいつもお一人で目一杯やられているので、時おり草抜きとかを手伝ったとき、収穫物を分けていただいているのだった。
最近、わたしが山の近くに畑を少し借りて、そのグリーンピースを植えたら育っている、とKさんに言うと、笑って、今度は畑に植えられる、中国野菜の苗をくださった。
畑に植わっていたのを根から引いたもので、このまま植えたら育つはずだ、とのこと。
その菜(名前は忘れてしまった)も、無事育っていて、何わか収穫できた。
いやぁ、自分で作ったものをすくないが収穫できると、うれしい。

昨日、畑にいくとき、大昔に使っていたカセットテープ用のウォークマンを持っていって、ラジオを聞きながら作業していた。ラジオ機能が付いているタイプだったのだ。
久しぶりにまたラジオを聞き出すと、いろんな曲がかかり面白かった。とくにNHKの昔ながらの中波放送では、日曜ということもあり、昭和の懐メロがかかったり、北海道旭川で収録した『のど自慢』なんかを放送していた。
懐メロリクエストでかかっていた「ここは静かなり」なんていう歌、はじめて聴いた。戦後すぐの歌っぽい、青い山脈風の歌であった。
たしかに秋はそういう静けさがみに染みる。たぶん聞き慣れていた蝉の声やぎんぎんの日差しが急になくなるからだろう。
今日は曇り空で、蝉の声がわずかしかしない。ついに夏も終わりかけ、風も涼しげだ。
ええい、ダメだ妙にしんみりしてしまっては!
ということで、昨日にならい、トランジスタ・ラジオをつけてみた。今度はFMだが、洋楽やポップスの懐メロ(…とは洋楽の場合言わない。スタンダードとまでいかないが少し懐かしのナンバー)を、英語のDJが延々とかけてゆく。
そこでバートバカラックが続けてかかった〜ウォーク・オン・バイ、デス・ガイ…。
そこであらためて、季節の変わり目を強く感じた。
さよならサマー・デイズ…。バカラックは春と秋になんと合う音楽か。
それは人をしてしばし沈思黙考、やるせない情熱に〜「青春」に〜引きこまれなくもない、危険な音楽である。
4月とともに9月も、「残酷な月」(エリオット『荒地』)なのだろうか。
そんな予感めいた思いをまだ夏の余韻が消し去る、そういう微妙な9月のはじめである…。

しかしながら昨今、大雨、猛暑で季節が壊れかけている。
昨日も夜テレビで、大雨のせいで山の地層がまるごと崩れる「深層崩壊」を特集していた(NHK特集)。古き良き時代とは、穏やかな気候も支えていたことを、痛感せざるをえない。

↓収穫できた作物と畑(真ん中がグリーンピース)。