赤塚不二夫作の「天才バカボン」が、もとは「天才vagabond」だった。
このことを、前回のブログコメントでiireiさんに教えていただいた。これは、わたしが知らなかったことだった。
しかし、そういえば、、、。いつか、聴いたシャンソン風味付けの「天才バカボン」のアニメ主題歌をフランス人歌手が歌っていたのだが、それはたしかに「bond bond vagabond vagabond bond」と聴こえなくないか!
クレメンティーヌという、フレンチPOPシンガーが歌っている。フランスは、日本のアニメファンが多くいる国であるが、なんと、vagabondが、フランス語で、ランボーも同じタイトルで詩を書いていることを思うと、感慨が深いのである。
さて、「バガボンドCAFE@ブッダ・カフェ」の報告をします。
(参加した皆様、ありがとうございました。)
*1どこから、報告すべきか、難しいですが、話したテーマは、下記のようなものだった。
(毎回、参加者の方の反応や質問を聞いて、話の流れが変わっていきます)
まず、参加の方々から、質問が出た。(やはり皆さん疑問を持っていたようだ)
・放射性物質を顕微鏡で見れるか。
・電磁派その他の波長と「可視」ということの話
人間には放射線が見えないように、電波も電磁波も見ることはできない、ということから、その話、波長のスケールの話になった。
光の波長は、人間の視細胞と似た大きさだから、見ることができるのだ。
一般に可視光の波長の最小限は、10のマイナス6乗から7乗といわれている。
ちなみに、メートルを基準として、ミリが10のマイナス3乗、ミクロが10のマイナス6乗である。
放射線の波長はミクロのレベルで小さく、ガンマ線で10のマイナス10乗の波なので、人間の視細胞よりはるかに小さいので、顕微鏡でも見ることは難しい。
逆に、電波や電磁波は、波が大きすぎる。ラジオの電波で100M以上もある。
そのため、ウルトラマンのような大きさの人間の細胞を想定すると、そのような細胞のサイズの大きい人間がいれば見えるかもしれない。)
・波は、短ければ短いほど集中し振動数が多くエネルギーが大きい。
だから、波長のすごく小さいガンマ線は、危険。
以上が、最初の質問から派生した内容であった。
・元素の周期表
勉強会は、メンデレーフが作った周期表
http://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0200a/contents/10501.html
を見ながら、放射能の原理である、元素に入る。
なぜ、原子核の崩壊、融合が起こるか。原子核の崩壊により、放射線が出る。
そのまえに、水素や酸素などの元素について、基本的な知識をおさらいする。
これは、物理と化学の基礎の基礎だが、参加した皆さんも、昔の知識を思い出しつつ、あらためて、理解するのに手間取ったところだった。
原子記号H(水素)から、原子番号が大きくなる順番に元素が並ぶ。
メンデレーフが最初に、この周期表をつくった段階では、この表のここに元素があるはずだが、まだ発見されていない、という状況、つまり「歯抜け」の表だった。
20世紀に、多くの元素が科学者により「競争で」発見され、表は完璧になった。
原子は、陽子、中性子、電子により構成されている。陽子はプラスの性質、電子はマイナスの性質がある。中性子には、陽子プラスと電子マイナスが互いに打ち消しあいながら合体している。この、中性子が、崩壊し、放射線をだす。
その仕組みを図を書いてもらい理解する。
・「希ガス類」
元素は、周期表の一番右端にある状態をめざす傾向がある。
これの周期表の一番右端の列に分類され、並んでいる元素を、「希ガス類」という。
これらは、安定しているため、原子単独でつまり、ほかの元素と合体したりせず今の地球上では、単独でガスとして存在している。
ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)などである。
・イオン化結合
希ガス類以外の元素は、なるだけその希ガス類の状態に近づこうとして、マイナス電子をとりこみ、マイナスイオン化し、ほかの元素とくっついて、安定しようとする。
そして、マイナス電子を放出したプラスイオン化した元素とくっつく。
この結合を「イオン化結合」と呼ぶ。
ナトリウム(Na)は、その希ガス類ネオンのすぐ次にある元素である。(ネオンが原子番号10で、ナトリウムは11。原子番号は、原子が持っている−電子の数とみてよい。)
なので、ナトリウムはネオンの状態になりたがっている。
どうすればなれるかというと、電子を1個放出し、電子が10個の状態を作りたがる。
なので、地球上の自然状態では、ほっとくとナトリウムイオン(Na+)となる。
そして、かたや塩素(Cl)、これは希ガス類アルゴン(Ar)のすぐ左にある原子番号17の元素で、ほっとくとアルゴンの状態になろうとする。
どうするかというと、電子を一個取り込み−(マイナス)イオン化する。「Cl−」である。
+イオンと−イオンは、くっつきやすい。
ナトリウムイオン(Na+)は、塩素イオン(Cl−)とくっついて、塩(NaCl)として存在することが、この地球上では最も安定する。
・このナトリウムは、今停止している高速増殖炉を持つ原発「もんじゅ」が、原子炉の冷却材として使っている。「もんじゅ」の事故は、このナトリウムが爆発したもので、ナトリウムは、大気上では、ものすごい爆発を起こす。その原理は、ナトリウムが、かように大気上では、安定しない元素だからだ。
・共有結合
イオンとなって、元素同士がくっつく以外に、電子を共有する形の結合がある。それが、共有結合だ。
この共有結合の状態を、棒(ハイフォン)であらわし H-O-Hなどと表現している図が、理科の教科書であったと思う。
棒が一本だと、つまり結合の手が一本という意味だ。
たとえば原子番号6の炭素(C)を例にとる。
炭素は、6つの電子がある原子だと考える。その列の希ガス類は、ネオン(Ne)である。安定した電子数は、10である。
この場合、10マイナス6で、4つの手をのばしている(4本のつなぎたがっている手がある)と考える。
つまり、炭素単体の原子は、まわりの元素から電子を4つ取り込むことにより、安定する性質がある。
これを、わかりやすくたとえると、4本の手がまわりに伸ばされるということだ。
だから常に、電子が安定状態の2個に1個だけ足りず、いつも1本の手をまわりに差し出そうとしている水素(H)を見つけると、4つの水素と合体し、CH4、つまりメタンガスとして、自然状態で安定する。
これが、高校の化学Ⅱの花形スターだった「炭素化合物」の原理だ。
炭素はこの4本の手を駆使して、いろんな化合物を生成する。ポリ袋、ペットボトルなどなど数々の石油化学製品が、この4本の手により生まれている。
(わたしが、この原理を、高校のときにわかっていれば、もっと勉強が楽しかったのに、と思わないでもない。なかなか、学校ではここまで「起源」にさかのぼり教えてくれることはない。教科書をこなすのに追われるからだろう。あるいは、教えてもらっていたかもしれないが、頭に入っていないのだ。)
・原子核分裂の原理
これは、自然にあまり存在しないウランなどの「放射性物質」を使って、莫大なエネルギーを生み出す仕組みだが、電子のやり取りといった生易しいものではない。
原子の中核にある原子核が変動し、核分裂や核融合を起こすという話になる。
その際に放射線がでる。放射線を出す性質のある元素を「放射性元素」といい、放射線を出す能力のことを、「放射能」と呼んでいる。
これは、水素原子が三つ合わさったもので、陽子に中性子がふたつくっついたものと思えばいい。
中性子とは、陽子と電子がくっついて電気的にはプラスにもマイナスにもなってない状態の素粒子である。
この三重水素は、すごく不安定である。つまり、余分に中性子が二つもあるので、ひとつになんとかしたくなる。
だから自然状態では、陽子1個と中性子2個で結合していた「核」が、崩壊する。
崩壊すると、中性子1個が、陽子1個と電子1個に分裂し、この電子が原子核から放出される。これが、電子による放射線で、β(ベータ)線と呼ばれる。
その崩壊の結果、原子核には、陽子2個と中性子1個が残ることになる。
つまり、もともと核内に陽子1個だったものが、陽子2個になる。その結果、元素としては、周期表で原子番号2のヘリウム(He)になってしまうのだ。
これが、核分裂反応の原理で、放射能元素としていま新聞によく出ているセシウム137は、同じような崩壊を起こし、β線を放出する危険な物質である。
・同位体元素
なお、この水素に対する、三重水素のことを、「同位体」と表現する。
放射性元素セシウム(Cs)137は、自然状態に多いセシウムの同位体元素である。
セシウム(Cs)は、安定状態では、崩壊しない。周期表では、元素番号55で、通常原子核の中の陽子は55個である。
その同位体元素のセシウム137には、陽子55個に82個もの中性子がくっついている。(55+82で137だ)
なので、核の中で崩壊が起こり、この中性子が分裂し、ベータ線として電子を出しやすくなっているのだ。
「放射性元素」とは、そのような物質のことである。
さて、ここまできて、やっと原発で使っているウランの話になっていくのだ。
・科学の神秘性
しかし、こうした話を聞いていると、「科学」が、常に、その起源のうえで、「自然」の謎に密接に触れており、「神秘的」な光彩を放つことに気付くのである。
いまの大方の科学者は、この種の基本的な知識を、あまりにも初歩的なものとして、なかなか示してくれないが、これこそ、実は、学校でもっと学んでおくべき、原子の原理なのだ。そして、それを知れば、そうおいそれと、人間が手を施せる対象ではないことが、わかってくる。
アインシュタインや湯川秀樹などの理論物理学者が、核に反対していたのは、その科学の起源、宇宙の生成にも関わる謎に、常に触れていたからだと思われる。
また、サラリーマン時代に読んだ松下幸之助の話にも、似たようなものがあった。
たしか、フィリップスと提携するときに、現地のオランダの博物館で原子の仕組みを展示している展覧会を見て、そこで感動した話を、会議でしたところ、難行していた提携の契約が、するすると実現してしまった。
聞きながら、そんな話を思い出した。
つづきは、また書きます。