京都の各種芸大学生作品オークション参加、ギャラリー「知」の「我ら青き日々」

13日(日)京都駅地下のポルタで行われた標題のオークションを、たまたま幸運にも通りがかったのであるが、見学。このオークションは、駅ビル近くにある京都学生コンソーシアム(キャンパスプラザ)が主催した、京都にある芸大(精華、造形芸大、市立芸大など)の学生の制作した絵やイラストを、なんと競売にかけ、その落札の結果、集めたお金を、その作者と会場運営費に折半するというもの。そうやって芸術で身を立てようとする学生の援助をしようという面白い試みだ。
最低5000円からのオークションで、対照の作品30点くらいを事前に確か1週間くらいポルタの真ん中のエリアで展示していた。わたしはたまたまこれも、京都駅で11日に知人と会っていた帰りに通りがかり見ていた。そこにおいてあったパンフに13日に競があると書いてあったのを、思い出したのだ。
この日は、大阪に森林ボランティアに行っており、京都駅に帰りついた。まだオークションはやっているかなと思い、長靴に作業服のまま、ポルタに行ってみた。
会場は、パイプいすが100台ほどおかれ、作品はすでにボードからはずされていた。
いすには、たくさんの方がかけておられ、盛況であった。これには驚いた。
タイミングよく、何名かが帰られ、いすが空いたので、座ってみることにした。
作品は、次々と競(せり)にかけられていた。
競というものは、はじめてみた。基本的には、オークションとは、こういうものか、と実感した。
まず、作者が自分の作品について「これは、こういう作品です」みたいなPRをする。前に、演台のような小さな舞台があり、その前に作品を置く台があり、そこに作品がおかれる。
続いて、芸大の先生らしき方が、その作品のコメントをする。
「君は、線だけで絵を描こうとしているんだよね?」みたいな、その作品の特徴を短くコメントする。
そこから、さあ5000円から行きます。と、進行の方が声をかけていく。会場から、うちわのような札をもって手が上がる。「はい、26番の方5000円です。7000円に行きますが、よろしいですか、7000円いらっしゃいませんか?はい、10000円上がりました。15000円に行きますが、おられませんか?いらっしゃらない?ハイ、○○さんの○○、10000円で30番の方に落札です!」(拍手)
とまあ、こんな感じだった。。。
だいたい、10,000円から20,000円で落札される作品が多かった。が、中には55,000円までつりあがったものもあった。たしかに、その作品はいい出来に思われた。とともに、大きいキャンバスに描かれていた。
日頃、芸術大の学生とも、その作品とも何の関係も無い生活をしていたが、それだけに、急にそれらのものが、日常に飛び込んできた感覚が、わたしには快かった。(通りがかりで、見ていた方も多く、そういう感覚を持たれた方も多かったのでは。)
ただ、わたしには詳しく見ていないので、わからないが、おそらくそれくらいの価格では、ほんとうなら市場にまわっていないのではないか。競をやることは、意義あることだろうが、また、買い叩く方には、とりあえず習作ではあるが、形は立派な芸術作品を安く手に入れられる機会ではあるが、そういう値段での取引が妥当なのだろうか。
このオークションは、実は初めて行われたものらしい。次回は、5月下旬に日仏会館(京都大学の近く?)にて、フランスのプロの作家も交え、今回のように芸大学生の支援も兼ね、行われるとアナウンスがあった。

 さて、その見学がきっかけなのかもしれないが、今日久しぶりに、以前訪れた「ギャラリー知」という、河原町丸太町のギャラリーに行けた。
 今日から、企画展で、現役の芸大学生の作品を「我ら青き日々」というテーマで展示していた。
 ここは、広島市立芸大と金沢美術工芸大学の学生さんとつながりがあるらしい。そこの学生さんが5人くらい、共同で作品を出品していた。
 先日も店主の方と話したのだが、わたしを覚えていてくださって、ブログに紹介したお礼も述べてくれた。そのブログは、→「六面体」広島市立大学大学院彫刻選考学生によるグループ展@京都寺町Gallery知 - 為才の日記
 この日は、なんと、展覧作品の作家の何名かが、初日ということもあり、続々とやってきて、話すこともできた。前回もそうだったが、お茶も出していただいた。
 どうも広島や金沢の大学にいるが、出身は京都の方も多いらしく、京都の美術科のある高校から、地方の芸大に行っているとか。なぜかといえば、自分の描きたい絵のスタイルにより、京都の芸大より地方のその大学の教え方のほうがあっているという判断だそうだ。(その判断は、高校とともに、芸大受験用の画塾のほうでもアドバイスをくれるらしい)
 こういう大学の選び方を、芸術大以外は、あまり普通しないのではないか。大学に研究者になるために行くならそうかもしれないが。それを考えると、芸大こそ、本当の職人教育が残っている分野なのかもしれない。それは、ルネッサンス期に、ダ・ヴィンチが、フィレンツェの工房に弟子入りした頃とおそらく変わってない。というか、現代芸術は、印象派の時代より、その傾向が強いのではないだろうか。
 しかし、芸大でてから、食べていける人がどれだけいるのだろうか。長引く不況で企業は、80年代にはやった「メセナ事業」から完全に撤退している。
 オークションも、その危機感からやっているのだろうが、少し疑問だと知店主は述べておられた。どの業界でも、マーケット理論による価格破壊、価値下落の波に飲まれているのだ。
 集まってきた学生諸子と、来客の方も交え、歓談できた。あまり芸術のことというより、学園祭でたこ焼きがもうかる、みたいな話。
 京都に画廊はたくさんあるが、こんな画廊はあまりないのではないか。
 もしお近くに行かれたら寄ってみてください→ブログ | 京都コンテポラリーアートギャラリー GALLERY TOMO 
 がっちりした印象派風の作品がたくさんあり、またモダンアートとは違った雰囲気が横溢していた。それも含め「青き日々」なのだろう。ピカソも青の時代があった。
 直接話した金沢美術工芸大在学(なんと1年、19歳)の河原さんが、青でパレットや筆を描いた作品が、たまたま来客の方には好評であった。