ひさびさに日記らしいブログ2011年11月1日「出鱈目な年の…」

荒川洋治氏が昔エッセイに、NHKから民放にチャンネルを変えるとき、何となく誰かに見られてないか気になる、後ろめたい気分になると書かれていた…。
たしかにニュースは見なければならない気になるし、なかなかチャンネルを変えずらい。
しかしながら、そのNHKが、さっきまで男女の愛憎を親子もまじえ描いた泥々のドラマを二本も続けてしていた。別な意味でチャンネルを変えられない。コマーシャルもないし。

先週で高島礼子がでていた『命の値段』が終わった(らしい)。これは時たま見て、なかなかよかったが最終回がみられず残念だった。
今日からガラッと雰囲気が変わった。真木よう子がでている。江国香織原作のホームドラマだが、崩壊しかけの家庭を描く、けっこう陰険なドラマで、木村多江があのユースケ・サンタマリアにマヨネーズをかけられていた。バラエティじゃないのだ。シリアスなDVの場面で笑えない。
それが終わるとすぐリョウがアラフォー女(たち)の複雑な恋愛模様
演じる『ビター・スイート』なるドラマを続けてやっていた。別れた恋人を仕事の仲間にとられ、それを別れてずいぶんたって知らされるという話だった。「わたしは○○に、二度フラレた」というセリフが重い…
このドラマでは、東日本の震災がでてきた。
リョウの友達の夫が震災をきっかけに家族を捨て家出する…
村上春樹阪神大震災後の短編集『神の子供たちはみな踊る』に、震災の報道テレビを毎日見ていた妻が、ある日家出してしまう話があった。
このドラマはあの震災を背景ではあるが登場させたものとしては最初のものかもしれない。


最近NHKの火曜はドラマの日となっているらしい。

今日は夜勤明け休みだった。
しかし朝から母が年賀状を買いに連れていけという。散歩がてら一緒に行って買い物して帰ると気分悪いという。
かなり今日は暑かっからかもしれない。温度差がひどく身体に負担なのだろう。
昼御飯を食べさせ、心配しつつ人と会う用事があったので車で家をでた。
なぜか勘違いして郵便局へいくつもりが銀行の通帳しか持ってきてない。車を駐車場に停めてから気づいて、歩いた方が早いと思って、近くにあった銀行へ向かうと、意外と離れていてかなり歩かねばならなかった。
そして会った方には、考えていたこととは違うことが口から出て、自他ともに気まずい状態になった。あとで、なぜあんなふうにしか言えなかったのか、考えさせられた。
そのあともアポがあり、そこに着いたら五分過ぎていた。遅れるとは言っていたが、少し気まずかった。
今度は向こうの方で用意してくれていた機材が不調で動かず、肝心の用事を延期にせざるを得なかった。話のみで急いでそこをあとにした。駐車場が45分おきに料金が上がるからだ。

つづいて知人にパソコンを修理に持っていくのを頼まれ、前日に受け取っていたが、行く前にコールセンターに電話したら付属のディスクも持ってこいといわれた。
預かってなかったので、その知人の家の近くまで取りにいく。
結局そのディスクは店に持っていくと要らないといわれた…。

そのあと自転車を昨日、自宅近くの駅周辺においていたが事情がありそのまま置いて帰ったのを取りにいく。
なんとかぎゅうぎゅう押し込み、車にのせ、ついでにその駐輪場があるブックオフで古本を何冊か「駐輪代」として買った。
レジの前であったはずの割引券がどうしても見つからず手間取る。
結局定価で買った。(今回も割引券をもらったのでなくさないようにしないといけない…)

さて帰ろうと車に乗ると知人から携帯にメールがあり、返信したらすぐにまた来て、やりとりしてたら22時をまわる。まだ食事もしてなかった…やはり昨日話題になったように、メールはすぐ返すべきでないかもしれない。ぐうたらと思われるのも必要である。

思えばこんなに疲れたのはサラリーマンだった時以来だと思う

そんな夜にユースケが木村多江にマヨネーズをかけているドラマを見ていると、いつか読んだ小説の次のような主人公のセリフが頭に浮かんだ。

「僕は何かを言おうとしたが彼女が泣いているのを知ってやめた。そして風呂場の脱衣籠にバスタオルを放りこみ、台所に行って冷蔵庫からビールを出して飲んだ。出鱈目な一日だった。出鱈目な年の、出鱈目な月の、出鱈目な一日だった。
ワタナベ・ノボル、お前はどこにいるのだ? と僕は思った。ねじまき鳥はお前のねじを巻かなかったのか?」
村上春樹『ねじまき鳥と火曜日の女たち』)

「ワタナベ・ノボル」とはこの小説の主人公の妻が飼っていたネコの名前だ。「僕」は失業中で、留守中にキャリアウーマンの妻から、いなくなったネコを探してくれ、といわれ、近所を探しているうち、家の庭で学校を休んでデッキチェアで身体を焼いていた女子高生に、ネコがよくこの庭を通ると言う。
「僕」はその庭に入りその娘といっしょにならんでデッキチェアに横になると、その少女は「死」についての奇妙な話を「僕」にしてくる。「僕」は、うとうとし寝込んでしまう。
その日の朝、スパゲティをゆでていると「僕」に見知らぬ「あなたを知っている」という女から変な電話があった…

そういえば今日は火曜だ。NHKの番組編成ディレクターは村上春樹のファンに違いない。