いまさらだが怖い・元職場にでた幽霊

昨日、元職場の仲間と飲む機会があった。そこで元職場にそんな昔ではないが、幽霊がいた話を、うかつにもはじめて聞いた。
なんでもわたしが仕事をしていた机のすぐ横にランマオープンのパーテーションで仕切った二畳か三畳くらいの小部屋があり、書類を入れ倉庫にしていた。
ある日、パートの女性がその中に用事があり入ろうと中を見ると、女性が一人いたという。
その方は、よくこうした現象にあうため、もちろん幽霊だと瞬時に察知し、その場を離れた。
あまりその場で大騒ぎにならなかったのは、気心の知れた直属の上司にだけそのことを告げていたからで、結果わたしも退職後一年近くして、そのことを知った。
この処置は正しく、もし聞いていたら、わたし残業できなかっただろう。当時は同業他社との合併話がでて、夜一人でよく会社に残ることが多かった。
ただ出たのは真昼で、見える人には昼夜は関係ないのだと言う。
帰りにみんなで「幽霊はいるのか、いないのか」の話になった。
わたしはあまり見たことはないが、気配は感じたことがあり、いる派だった。
いない派の首領は春から農業系アルファベット二文字の全国組織で働いている元パートの男性で、それは見るものの頭の中の幻想を反映し、見たと思っているだけだと言っていた。なかなか説得的な強力な反論である。
ゆくゆくは幽霊もこの種の強固なる現代常識のためにいなくなっていくのだろうか。
家に帰ってから、妙にこの話しが気になり、なかなか寝付けなかった。ほんとにわたしはその倉庫には夜中によく一人で書類探しや整理のため入っていた。
そんな気配は微塵も感じなかったが、出るとすれば、どんな因縁があったのか。会社も先行きが雲行き怪しくなれば、人心が乱れ、その反映で出やすくなるのか、など考えてしまう。
うとうとしていると夜中の3時に突然電話がなり目が覚めた。
とっさに恐怖せざるを得なかった。
理性的になり「だれか親類が緊急事態になったのか?」と思い、留守電に切り替わったテープに女性が語りかけた…
大阪ガスのるるるコール緊急告知センターです。○○様のご自宅でガスのご使用が長時間にわたっているため調査のお電話です…」
わたしは慌てた。そういえば寝る前にお茶を沸かしていたが、すっかり忘れて寝てしまっていたのだ。
幸いまだやかんにはわずか一センチくらいぎとぎとになったお茶が残っていて大事には至らず、ホッとした。
しかし「るるるコール」は偉大だった。(もし都市ガスを使われているご家庭があれば、加入をおすすめします。)留守電に吹き込まれた電話番号にコールバックしてお礼を述べたが、いや、あのまま寝ていたら、マジで火事になるところだった。
だから幽霊いない派の彼が言うように、ことほどさように我々は心理的に動揺しいないかいるかわからない幽霊に、心理的に支配されてしまう。どうも帰ってきてそればかり気になって、どこか上の空だった。
しかし、だからといって、それが幽霊がいないことの証明にはならないのだが。