2012年9月18日 久しぶりの雨降り ポルノ・グラフィテイと中原中也の関係

昨晩、雨が降った。夜のうちは、わたしは夜勤で職場に朝方までいたが、降ったりやんだりで、あまりひどくなかった。
家に3時くらいに帰りついたときもやんでいたのだが、しだいに雨が降り始め、明け方はひどい降りだった。
久しぶりにまとまった雨をみた。最近雨が降りそうだが降らず、降ってもすぐ止むやわい雨であった。豪雨がしかし、場所により降っていたようだったが。幸い、それはないものの、蒸し暑い日が続き、参っていたところだった。
畑にも行けていないので水がやれていない。雨が降れば助かる。

午前中いっぱい雨はまだ降り続き、ついさっき12時30分頃やんだ。
そして少しは秋らしい涼しさが感じられる。
冷房なしでものごとを少しは整理してゆっくり考えられそうな気温である。
もっとも、今年はめったにクーラーを使わなかったが。

NHKの「スタジオパークでこんにちは」でポルノグラフィティが出演している。
このバンドは、だいぶ前もここに書いたことがあるが、わたしにとっては不思議な魅力的な音楽をしているユニット?である。
広島県尾道市(旧因島市)出身。高校の同級生というメンバー。
瀬戸内文化圏?という言い方はあるのかどうかしらないが、もしあるとするなら、特徴として、わたしは音楽的才能を思う。
山口県から兵庫県にいたる中国地方は、エリアとしては広すぎるかもしれない。
しかしこの土地には瀬戸内という内海があり、潮の匂いのする風景と、毛利氏の水軍を生んだ海洋の文化がある。
わたしはこの風土がかなりな深さで、そこに生まれ幼少期から少年少女期を過ごした人々、あるいはなんらかの奇縁でこの地に暮らしその空気を吸い続けた人々に、独特なメロディを創造する才能を与えてきた気がする。
ビッグスター矢沢永吉広島市)をはじめとし、吉田拓郎(鹿児島生まれ、広島市育ち)、浜田省吾広島県竹原市)、村下孝蔵熊本県水俣市出身、高校卒業後広島へ)、山崎まさよし滋賀県草津市生まれ山口県防府市育ち。「スタジオパークからこんにちは」の現在のテーマ曲は山崎の曲『太陽の約束』)、徳永英明(福岡県柳川市生まれ、兵庫県伊丹市育ち)、アンジェラ・アキ徳島県板野町生まれ岡山県育ち)そしてこのポルノグラフィテイ、彼らの作る歌のメロディは、どうもほかの土地生まれのミュージシャンにはとうてい作ることのできない風味〜テイストがあるように思う。
そして、彼らの大先輩として、メロディのない詩を書いて、青春のひとこまひとこまを、インパクトのある独特な詩作品として書き残した詩人を思い浮かべる。
まさにいまの星の数ほどいるJ-POPシンガーの思想的な元祖であり父であると思われる先覚者。大正時代山口県に生まれている。
中原中也だ。
作詞家の松本隆は、いみじくも中原中也のことを、こういっている…「中也はことばという楽器を持ったミュージシャンだった」
そうわたしも強く思う。彼の詩には、彼流の調子・リズムがあり、その破格的な転調を思わせる部分は、さっきあげた瀬戸内ミュージシャンの作る旋律に対応しているのではないか。
中原中也の肉声を伝えるものはないし、詩人というものは肉体性の限界を越えた永遠を狙うアーチストだから、彼に肉声を残す意図も必要もなかった。彼は、長く世に残ることばを紡ぎ刻みたかったのだし、その目的は短い生涯にも関わらず見事に達成した。
しかしながら、そこにわれわれが感じる「音楽」は、たしかにあるように思われる。
そして日本最大の童謡詩人金子みすゞも、なんと山口県捕鯨の村だった仙崎村出身である。
彼と彼女の残した詩作品は無音の音、メロディのない歌の数々であり、「音楽以前の音楽」の豊かで、まだ枯れない井戸といったものだ。
そして、中原の詩を生んだのものと同じものが、瀬戸内文化圏出身のシンガーソングライターの作品にも影響を与え、音楽史に記念碑をうちたてた数々の珠玉のメロディを産むにいたったのではないだろうか。
瀬戸内は音楽以前の音楽の宝庫だったのではないか。
それを思うと瀬戸内は不思議なエリアなのである。
また雨が降り始めた。
たしかにこれは秋の長雨〜秋雨前線が台風のあと居座りはじめたのだろう。